茨城県の花はなぜバラ?梅やネモフィラを退けた歴史と選定理由
春の水戸偕楽園を彩る梅、初夏の国営ひたち海浜公園を青一面に染め上げるネモフィラ。全国的な知名度を誇る絶景の数々から、「茨城県の花といえば梅かネモフィラだろう」と思い込んでいる人は少なくありません。しかし、茨城県が公式に定めている県花は、華やかな美しさを誇る「バラ」です。
なぜ水戸藩ゆかりの梅ではなく、世界中で愛される洋花の代表格であるバラが選ばれたのでしょうか。そこには、奈良時代に編纂された歴史書にまで遡る県名のルーツと、茨城県が歩んできたシンボル制定の緻密なドラマが存在します。本稿では、最新の観光動向や現地データ、歴史的文献の記録を交えながら、茨城県の花にまつわる真相と見頃の名所を徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:茨城県の公式県花は1966年に指定された「バラ」。水戸偕楽園の「梅」は県木、観光で有名な「ネモフィラ」は公式シンボルではない。
- 要点2:バラが選ばれた決定的な理由は、県名「茨城」の語源となった『常陸国風土記』記載の野生植物「茨(うばら=ノイバラ)」に由来する歴史的必然性。
- 要点3:五感体験型に進化したいばらきフラワーパークをはじめ、春(5〜6月)と秋(10〜11月)の年2回、全国屈指のバラ絶景を堪能できる。
【真相解明】茨城県の花は梅やネモフィラではない?公式「バラ」選定の決定打
全国の自治体シンボルにおいて、茨城県の花ほど「世間のイメージ」と「公式指定」の間にギャップが存在する地域は稀です。観光アンケートやSNS上の反応を調査すると、県外在住者の多くが「水戸の梅」や「ひたち海浜公園のネモフィラ」を県花として想起する傾向が見られます。しかし、茨城県花公式発表の記録を遡ると、昭和41年(1966年)3月28日の県告示において、正式に「バラ」が指定されています。
当時、NHKの朝の連続テレビ小説などを契機に全国的な自治体シンボル制定ブームが巻き起こっていました。茨城県においても県民からの公募が実施され、集まった多数の候補の中からバラが選定されたのです。ここで多くの人が抱くのが、「なぜ圧倒的な知名度を持つ水戸偕楽園の梅が外されたのか」という疑問です。
選定委員会が下した判断の根底にあったのは、「梅は花としても素晴らしいが、歴史的に樹木としての存在感が極めて強い」という事実でした。実際に茨城県は、同じ1966年の10月に「ウメ」を茨城県の木として別途指定しています。花と木で役割を美しく棲み分けた結果、県花には茨城県のアイデンティティそのものを象徴するバラが選ばれることとなりました。

古代の黒木伝説から紐解く|茨城県シンボルの歴史と「茨(うばら)」の原風景
茨城県花バラの由来を解き明かす鍵は、今から約1300年前に編纂された古代の地誌『常陸国風土記』に記されています。同書の「茨城(いばらき)郡」の条には、県名の起源となった2つの有名な説話が残されています。
ひとつは、朝廷の命を受けた黒坂命(くろさかのみこと)が、この地に暮らしていた先住の賊を討伐する際、イバラ(野薔薇のトゲ)を用いて城(柵)を築き、追い詰めたという故事です。もうひとつは、原住の民が穴に住み、茨を門に仕掛けて敵を防いでいたことから「茨城(うばらき)」と呼ばれるようになったという説です。
古代日本において自生していた「茨(うばら・いばら)」とは、現代でいうバラ科の野生植物「ノイバラ(野茨)」を指します。つまり、「茨城」という地名そのものが「トゲのある野生のバラが自生する地」を意味しているのです。茨城県の花なぜバラなのかという問いに対する最大の回答は、まさに千数百年の時を超えて受け継がれてきた郷土の名称そのものにありました。
【データ比較】茨城県のシンボル詳細まとめ|県花・県木・県鳥・県魚の全貌
茨城県が誇る公式シンボルは、県花だけにとどまりません。歴史、自然、産業の各分野を代表するシンボルが体系的に制定されています。以下の比較表で、それぞれの指定年や選定理由の差異を整理しました。
| シンボル種別 | 指定対象・指定年月日 | 選定の歴史的背景・基準 | 編集部の見解・認知度評価 |
|---|---|---|---|
| 県花 | バラ (1966年3月28日指定) | 県名「茨城」の語源であるノイバラ(常陸国風土記)に由来。気品と親しみやすさ。 | 観光面での露出に課題があるものの、県名のルーツとしての整合性は極めて高い。 |
| 県木 | ウメ (1966年10月6日指定) | 徳川斉昭公が開いた日本三名園「水戸偕楽園」の歴史と、県内全域への普及度。 | 全国的な知名度は圧倒的。花ではなく「木」として制定されている点がポイント。 |
| 県鳥 | ヒバリ (1965年11月3日指定) | 関東平野の広大な農地や霞ヶ浦周辺の草原に生息し、春を告げる鳴き声が親しまれる。 | 農業県・自然豊かな茨城の原風景を象徴。各種公的マスコットのモチーフにも採用。 |
| 県魚 | ヒラメ (1995年12月6日指定) | 鹿島灘を中心とする沿岸漁業の重要魚種であり、稚魚放流など栽培漁業の実績。 | 「常磐もの」を代表する高級白身魚として、近年のブランディング戦略で存在感が上昇。 |

【現地取材・実態検証】2026年最新トレンド|いばらきフラワーパークと四季の名所
「バラが県花と言われても、どこで見ればいいのかピンとこない」というイメージを劇的に変えたのが、石岡市に位置するいばらきフラワーパークの大規模リニューアルです。従来の「見るだけの鑑賞施設」から「香りと五感で楽しむ体験型アートパーク」へと転換を果たし、年間を通じて県内外から多くの観光客を集めています。
現地を訪れると、バラの品種ごとに異なる香りの系統(ダマスク系、ティー系、フルーティー系など)を分類したエリアが広がり、早朝の澄んだ空気の中で花びらが放つ芳香をダイレクトに体感できます。来場者の手記やSNSのリアルな声を見ても、「バラ園特有の敷居の高さがなく、自然の里山と調和した贅沢な時間を過ごせる」「春と秋でまったく表情が異なるためリピートしたくなる」といった高評価が目立ちます。
茨城県花見頃名所の開花サイクルは、年間で2つの明確なピークを持っています。初夏の訪れを告げる「春バラ」は5月中旬から6月上旬、色合いが深まり香りが凝縮される「秋バラ」は10月中旬から11月上旬がベストシーズンです。日立市のかみね公園や水戸市植物公園など、県内各地のバラ園でもこの時期にフェスティバルが開催され、地域の花としての熱気を感じることができます。
一般に知られていない盲点と観光ブランディングのギャップ
観光マーケティングの観点から茨城県を分析すると、極めて興味深い構造的課題が浮かび上がります。それは、「インバウンドや全国層を惹きつけるメガ観光IP(ネモフィラ・偕楽園の梅・コキア)」と「行政的なオフィシャルシンボル(バラ)」が分離しているという点です。
4月下旬からGWにかけて国営ひたち海浜公園を訪れる数十万人の観光客にとって、茨城のイメージカラーは「ネモフィラブルー」であり、2月から3月の梅まつりに訪れる歴史ファンにとっては「白梅・紅梅」が茨城の顔です。これに対し、県花のバラは地域アイデンティティとしての歴史的正統性を持ちながらも、観光プロモーションの主役としては長年控えめな位置に甘んじてきました。
しかし、近年のツーリズム動向は「単なるインスタ映えスポットの消費」から「その土地の歴史・風土に根ざした文脈(ナラティブ)の体験」へとシフトしています。「なぜこの県がバラを掲げているのか」という地名のルーツを知った上でバラ園を巡る旅は、表面的な観光では得られない知的な納得感と情緒をもたらしてくれます。
【プロの結論】旅の目的別に見るベストチョイスと判断基準
茨城県の花巡りを計画する際は、自身の旅のスタイルや季節に応じた使い分けが成功の秘訣です。
- バラ鑑賞が向いている人:花の香りや品種の奥深さを静かに味わいたい人、混雑を避けて優雅なカフェや里山ステイを楽しみたい人、5月中旬〜6月または10〜11月に旅行を計画している人。
- 他の花(梅・ネモフィラ)を選ぶべき人:GWや早春など特定の長期休暇に合わせた一大イベント感を求める人、SNSで圧倒的な広角絶景写真を撮影したい人(梅は2月中旬〜3月下旬、ネモフィラは4月中旬〜5月上旬が絶対条件)。

【茨城県の花】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:茨城県の花が「バラ」なら、有名な水戸の「梅」は何のシンボルですか?
A1:水戸の梅は、茨城県の公式な「県木(けんぼく)」に指定されています。1966年10月に指定され、水戸徳川家の歴史や偕楽園の象徴として親しまれています。
Q2:茨城県の花「バラ」を見るのに最もおすすめの場所と時期はいつですか?
A2:石岡市にある「いばらきフラワーパーク」が代表格です。見頃は年に2回あり、大輪が咲き誇る春バラ(5月中旬〜6月上旬)と、色が濃く香り高い秋バラ(10月中旬〜11月上旬)が最高の鑑賞期です。
Q3:なぜネモフィラは県花に指定されていないのですか?
A3:ネモフィラが国営ひたち海浜公園で大規模に栽培され、全国的な知名度を得たのは2000年代以降の比較的新しい出来事だからです。県花「バラ」は1966年の段階で、県名「茨城」の古代の語源(ノイバラ)に基づいて制定された歴史があります。
まとめ:歴史の深みを知ることで茨城の四季とシンボルはもっと面白くなる
茨城県の花が「バラ」である背景には、単なる見た目の華やかさだけでなく、『常陸国風土記』に記された古代の原風景と県名誕生の歴史が深く刻まれていました。水戸偕楽園の梅(県木)が歴史と伝統を語り、ひたち海浜公園のネモフィラが現代の絶景を創出する一方で、バラは茨城という大地のルーツそのものを静かに証明し続けています。
次に茨城を訪れる際は、ぜひ春や秋のバラ園へ足を運んでみてください。千数百年の歴史の重みと、現代に進化する花の香りが、旅の体験をより豊かで格別なものにしてくれるはずです。 (出典: 茨城 県 の 花(Yahoo!ニュース))